【レビュー】エースコンバット7 スカイズ・アンノウン
エースパイロットになれる
まず私は、初期3部作をリアルタイムで、またPSPの2作を少し触った程度の、浅いパイロットだと言っておく。(ちなみに一番好きなのは3。SF好きなので。)
航空機には大して詳しくないので、カジュアルに楽しんだユーザーのレビューと思って読んでいただきたい。
シリーズを重ねてきただけあって、設定はとても濃く、難解なものになっている。
発売前に有志が制作した歴史のまとめ記事や動画を見てみたが、「うーん...そっかあ」程度の感想だったし、ストーリーわけわからんかったらどうしようというプレイへの不安もあった。
だが、このゲームはそれをふっとばしてくれた。
このゲームの核はフライトシミュレーターかもしれないが、私は物語だと感じた。
この物語の主人公:コードネーム「トリガー」(以下トリガー)は寡黙で、アイデンティティを現すことは皆無と言える。設定はただ一つ「エースパイロット」。
だからこそプレイヤーはトリガーになることができる。
物語へのネタバレになってしまうので詳しいことは書かないが、物語は絶品だ。
良質な戦争映画のような脚本。
戦争をありのまま描き、複数の視点があり、それが交わり、なにかに気付き、正していく。
とても抽象的な表現になってしまうが、とてもしっかりしている。
そしてなにより、プレイヤーがトリガーでいることを快感と思わせてくれるところが良い。
トリガーが行うこと=プレイヤーが行うことを素直に褒めてくれる上官と憎めない仲間。この存在がとても大きい。
言い方が悪いが、ちやほやしてくれる。マジで気持ちがいい。
本当に自分がエースパイロットであるような感覚になった。
また、他のパイロットに群を抜いて腕の良いパイロットだから、「トリガーについていけば生き残れる」「これはトリガーにしかできない」と、自分を特別扱いしてくれる。
「これがエースコンバットか」と感動したものだ。
このゲームでは一つの戦争が描かれているわけだが、その戦争に参加しているという意識を強く持つことができるというのもすごいところだ。
前述の通り、仲間や上官が無線で頻繁に会話を交わす。
そのお蔭でプレイヤーはコックピットをリアルに感じ、プレイ時間と比例して仲間感を得ていく、そこで畳み掛けてくるのがミッション前のブリーフィングだ。
敵の兵装を確認し、ミッションの概要を指揮官が説明してくれるのだが、映画でよく見る、プロジェクターでホワイトボードに概要を写して、隊員が個性豊かな振る舞いで上官の作戦内容を聞く、という胸熱映画でありがちなシーンを思い浮かべるわけだ。
しかもその中で、右後ろのほうで腕を組んでファイルを入れるような棚に寄りかかっている感じ。
自分自身がこの戦争に参加し、しかもキーマンであることを自覚できる。
自然にロールプレイができる演出と脚本になっていて、ゲーム体験としての整合性が完璧と言える。
航空機のアクションについては知識が乏しいためここでは割愛させていただく。
それほど無知な人間でもそれだけ楽しめたというわけだ。
また余談だが、VRモードもとても完成度が高い。
発艦の時点でとても楽しい。(ちょっと酔うけど)
この初見プレイの動画を撮影したので、是非ご覧頂きたい。
最後にはオチも用意しているので、是非ご覧頂きたい。ついでにチャンネル登録して欲しい。
【レビュー】鬼武者リマスター
鬼武者が忘れていた「アクション」を教えてくれた
鬼武者の印象
筆者はオリジナルを当時少しだけプレイした程度で、「有名なゲーム」というイメージを持っていた。
また、かの有名な「空前絶後のバッサリ感」というキャッチコピーも知っていた。
最初は慣れない
「バッサリ感」は確かにある。敵を斬りつけたときのSEはとても気持ちよく、「早く斬りたい!」と思わせてくれる。「あぁこれがバッサリ感か」と思った。
が、しかし、このゲームのアクションの核はそこではないと感じた。
確かに、掴みというか、アクションへの入り口としてバッサリ感は確かにあるが、プレイしていくに連れて、やけに難しく感じる場面があった。
ここで鍵になるのが「一閃」だ。
敵の攻撃の直前に斬りつけることにより一撃必殺の強力な攻撃を放つというもので、一閃の会得の有無はこのゲームの難易度を大きく左右する。
敵の攻撃のタイミングを見極め、攻撃を食らうリスクを感じつつ一閃を狙って攻撃をする「バッサリ感」こそが核なのだ。
これを覚えると一気にアクションが楽しくなり、自分で会得した、自分だけのアクションを繰り出すことができるようになる。
一つのマップ
PS2のゲームだけあって、マップ全体自体はさほど広くない。
一つの城を舞台に、物語が展開されていく。
もちろん同じ場所を通ることが何度もあり、最初は恐る恐る進んでいた道も、やがて自分のものになっていく、手に馴染んでいく感覚は、マップへの感じ方を変化させていく。
私はクリア目前か、というところでようやくマップの全容を把握することができて、自分の庭になったようでなんだか嬉しかった。
音楽
このゲームのサントラはプレミアがつくほど素晴らしい....
が、プレミアになっているのはもう一つ理由があって、ゴーストライター騒動で有名な佐村河内守氏が関わっている。
エンドクレジットにもしっかりと記載がある。
未だに再販等は行われてないのが惜しいが、このリマスターの限定版「幻魔封印箱」には23曲を選出したCDが同梱されている。(オリジナルのサントラは40曲超なので半分以下に削られてはいるが。)
大河ドラマを思わせるような荘厳な和の音色は、日本の音を象徴する尺八や琴等が使われ、必聴と言っても過言ではない。
筆者はあまりにも心を打たれたため、ソフト単体で購入したが限定版「幻魔封印箱」を買い直してしまった。
リマスターとして
今作はリメイクではなくリマスターなわけで、贅沢は言えないが、ムービースキップくらいは実装しといて欲しかった。(2以降はオリジナル版からスキップ機能が実装されている。)
決して簡単なゲームではないので、何度かボスに挑むというシーンも出てくる。
更にボス戦で倒されてもチェックポイント等はなく「終」という無常な文字の後にタイトル画面に戻されるだけで、セーブポイントから再開する必要することになる。
そんなときにボス戦の前の分単位のムービーを何度も見るのは苦痛以外の何でもない。
また、トロフィーには対応してくれている。オリジナルをやりこんだ方なら簡単にトロコンできるだろう。
棒読み
まぁ、知ってる人は知っていると思うが、このゲームの主人公「左馬之助」(さまのすけ)は、俳優の金城武氏がキャプチャーされ、声も務めている。
まぁ、それがすごい棒読みっていうだけ。
なんか、だんだん癖になってくるよね。
ただ、前述のようにボス戦前のムービーで何度も聞いているとだんだん腹が立ってくる。
アクションとは
アクションゲームの面白さってなんだろうっていう問題を考えさせてくれる。
確かに、簡単な操作で気持ちの良いアクションが繰り出されるのも楽しい。しかしながら、最初は全然上手く立ち回れず、見てくれの悪いアクションをしていても、だんだんと上達していき、最後はその自分の技でボスを倒す。確かに、主人公はステータスとしてレベルが上がるかもしれないが、数値にならない「技」と「知識」を得て、プレイヤー自身がレベルアップしていることを忘れてはいけない。
これこそがアクションの醍醐味なのではないだろうか。
むしろ、こうでなきゃアクションの意味がない。
楽器だってスポーツだって、最初から上手くできる人なんていない。各々のペースで成長していって、自分だけの技を身につけるのだ。
そんなことを再確認させてくれたゲームだった。